正月気分もなくなり、日々仕事との戦いがやってきた。
明雄は六本木に職場がありビルの管理会社で働いているが
ここ数年は上司との問題でかなりいずらい存在であった。
年齢も30半ばで今後の展開によっては職をかえるかどうか悩んでいた。
「お~い例の企画書はまだ出来てないのか?
3日後にはプレゼンだぞ、大丈夫か?」おやおやまた始まったぞ~
実際はもう出来てはいるんだかタイミングが悪かったようで
昨日のうちには完成はしていたのだが、多少手を加えていたところだった。
「はい~ もう間もなく出来上がります。午後の会議には
 間に合わせます」
「早くしろよ・・・・」
うるさいな~ 明雄は少し苛立っていたが完璧な内容でギャフンと言わせたかった
明雄はまだ係長クラスのポストで昇給試験を一度だけ受けたが面接で落ちてしまった
今年は絶対に昇級して花形の別部署へ異動してみることに執念を燃やしていたが
自分自身この先のことを考えると憂鬱な日々が続いていた
この企画はビル全体の活性化をはかり、複合ビルとしての斬新な企画だった
常に人が動いているそんなビルにしたい。最近は夜に動かない・・・・
東京の夜をどう満足させるか、テナント・オフィスそして外来客をいかに取り込んで
いけるかどうかデフレ時代に戦いを挑んでみたい、そう明雄は思っていた。
ふと携帯が鳴った。奈緒からの電話だ。
「どうしたあ~」と明雄は「こんな時間になんか用か」奈緒とは大学時代のゼミ仲間だったが
つきあっているまでの関係ではなかった。「今日会えないかな~」と言ってきた。
明雄は答えた。