先日、丹沢の尾根を登っていた途中で2頭の鹿と遭遇しました。
人馴れしているせいか、カメラを持って接近しても逃げる気配はなく、草をムシャムシャ食べ続けていました。

鹿は代表的な山の野生動物で見ていてかわいいですが、今、丹沢山塊では邪魔者扱いを受けているのです。

何年か前まで、尾根の途中に丹沢一の銘木と言われていた「思いのまま」という名の桃の木があったのですが、その木は鹿の食害によって枯れてしまいました。
登山者の増加によって尾根が侵食・裸地化され、鹿は食べ物を求め、さらに山深い場所へと移っていった結果、草木を食べ尽くす食害が問題になったのです。
実際、鹿と遭遇した周辺の木をよく見ると幹にはかじられたような跡が多数あり、立ち枯れしている木をたくさん見つけました。
さらに、狼の絶滅で鹿が増加、森林の伐採による環境破壊もあって、生態系のバランスが崩れたのも原因のひとつと言われています。

その桃の木も原因をたどれば人間が枯らしたのだと思うと、なんだか胸が痛く、しんみりとしてしまいました。
この2頭の鹿も別に何も悪いことをしてるわけではないのに、人間によって山に追いやられたあげく、草木を食べたら問題視されるなんていい迷惑ですよね。

何枚かの写真を撮ったあと、この鹿たちの前でしばらく感慨にふけってしまいました・・・。